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2016年9月4日日曜日

QNAP TurboNAS TS-212P NAS(Network Attached Storage)の導入

HDDは壊れる、というのは技術の進んだ今でも起こり得る不条理劇で、不断の対策が必須です。

今回、パソコンを1台増やしたのと、既存のパソコンのHDDがいっぱいになってきたことから、NASを導入することにしました。バックアップだけが目的ならばNASは必須ではありません。パソコンが1台しかないのなら外付けHDDで十分。写真だけならGoogleフォトで十分です(画質は下がります)が、せっかく新しい製品を買うのなら、今風のデータ管理を試してみようと思った次第で。

目標

①RAID1+外付けHDDへバックアップすることでデータを3重化したい
 (写真についてはGoogleフォトを加え4重化)

②共有フォルダを作り、複数のパソコンから読み書きできるようにする
 (このとき、スマホ・タブレットからは読み取り専用にしたい)

③写真をネットに限定公開して離れた家族がいつでもダウンロードできるようにしたい
 (高画質のファイルををそのまま渡したい)

今までは無線LANルーターの簡易NAS機能を使っていましたが、遅い・切断される・ファイルサイズが4GBまでという欠点があるため、②を半端に満たす程度でした。IO-DATA LANDISK、Buffalo LinkStation等の国産安価NASを買う手もありますが、上位機種でなければ①③ができず、HDDも基本的に専用の高価なものが必要になるため、Synology DiskStation、NETGEAR ReadyNAS、QNAP TurboNAS等の「ホンモノのNAS」から選ぶこととします。

ホンモノの定義は全くの私見ですが、ちゃんとしたOSが内蔵されていて、アップデートやアプリ追加が可能で、ハードディスク交換時にメーカーの制限がないこと。総じて長く使えるモノです。

「NAS、簡単!便利!」なんて記事をよく見かけますが、パソコン初心者が途惑いなく運用できるかと言えば絶対に無理で、少なくともファイル共有の知識(ユーザーアカウント、ゲスト、読み書き制限など)は必要で、出来ればサーバー管理やLinuxについても知っていると尚良。

Amazonにて15,000円で購入


ハードディスクは1TBの最安値×2
予算に余裕があればWestern Digital Redシリーズがいいみたい


1.初期設定

説明書が同封されていないので、セットアップサイトに行きます。機種名を入力するとハードディスクの固定方法が出てきます。シンプル&不親切。図から見て取れませんが、1台目(基盤側)はコネクタ不要で、端子に差し込むだけでした。また、使途不明の小さなネジ2本は、カバーを固定するものでした←分からずに、「へぇ~メンテナンスの為に手でこんなに簡単に開くようになってるんだ~」と思っていた。

LANに繋ぎ電源を入れ、サイトからパスコードを入力すると認識できます。しかし何故かシールになっているQRコードとパスコード(数字)。剥がしたら捨てちゃいそうなので裏面に印字してください…。

ハードディスクも認識し、RAIDの設定などの次に、不良セクタの検査を開始したのですが、時間がかかりそうだったのでサイトを閉じてパソコンを落としておきました。これがいけなかったのか、次の日認識不能の状態に。何故かハードディスクを外すと認識するため、NASの初期設定不良が疑われます。

結局、ファクトリーリセット(出荷時の状態に戻す)してパソコンのアプリQfinder Proから探すことで正常に認識しました。リセットはリセットボタンをピンでつつくことで出来ます。長押しの時間によってフルリセット/設定のみリセットを切り替えることができるようですが、何度かどちらのリセットも繰り返していて、いつの間にか直ったようです。

Qfinder ProはNASの初期設定時やIPアドレスが変わってしまったときに、アドレスを調べなくともNASを探すことが出来ます。初期設定でパソコン起動時の自動起動がオンになってしまっているので、設定画面からオフにしておきます。

不良セクタの検査は終わったかどうか不明ですが、何とか稼働状態になりました。

①IPアドレスの固定
後々不便なことになるので、IPアドレスを固定します。
コントロールパネル→システム設定→IPアドレスの編集ボタンから設定

②外付けハードディスクへのバックアップ設定
RAID1でデータは2重化されますが、NAS自体が壊れた場合は面倒なことになります。殆どのNASにはUSB端子が付いており、ここに繋げられたストレージ(市販の外付けハードディスクなど)へNASの中身を丸ごとバックアップする機能があります。NAS故障時はこのハードディスクをパソコンに繋ぎ変えればOK。

私はNASの導入で外付けハードディスクが2台余ってしまったので、フォルダで分割バックアップすることにしました。NAS 1TB、外付け500TB×2なので偏りがないよう注意する必要があります。2台を1台として自動分割する機能は無いようです。

ハードディスクは自動認識するので、フォルダを作成しバックアップの設定をします。
バックアップマネージャー→External Backup→外部ドライブ

スケジュールは特に問題なければ週一でいいと思います。最新のファイルはRAIDで保護されているので、逆に少し前のファイルが欲しい時に役立ちます。

NAS内・外付けハードディスク共に、フォルダごとに共有の詳細や非表示設定ができるので、バックアップファイルは普段見せないようにすることも可能です(NASが壊れたときはパソコンに繋ぎかえれば見れる)。


2.共有設定(家庭LAN内でフォルダを共有したい)

デフォルトフォルダ(Homeなど)は消去できませんが、非表示にはできます。
コントロールパネル→権限設定→共有フォルダ

データフォルダを作成し、パソコンのデータを引越しします。

次に、データフォルダの共有設定です。上記共有フォルダ設定画面でフォルダを追加します。

おすすめはパソコンに読み書き権限、その他は読み取りのみで、こうすると、例えばスマホのファイラーで、誤ったタップ操作によりフォルダを移動してしまうことを防げます。

とはいえパソコンをいちいち登録するのも面倒なので、共有フォルダアクセス時にユーザー名/パスワードを入力した人だけが読み書きできるようにします。

ここで問題発生。読み書きできるユーザーを作成し、ゲストを読み取りのみにすると、初めてアクセスしたパソコンはゲストとしてログインしてしまう。

確かにゲストはログイン不要なのは当然の仕様です。けれども、アカウント入力画面を強制的に表示する方法がないのです。もしかしたらあるのかもしれませんが、私がとった方法は、ゲストログインを許可しない状態にして各パソコンからログインし、その後にゲストを許可するというものです。各パソコンにはログイン時のアカウント情報が保存されているので、次回以降もゲストではない、読み書きできるユーザーとして自動ログインできます。スマホ等からはログイン無しでゲストとしてアクセスできます。

ちなみに、共有ファイルで任意のアカウントでログインした際、ログイン情報を保存すると、自動でそのアカウントが使われるため、別アカウントでログインすることができなくなります。別アカウントでログインしたいのに…と困ったときは、Windows10だと

コントロールパネル→ユーザーアカウント→資格情報マネージャー

を開き、該当する資格情報を削除又は編集すればOKです(うわぁ難解だ~共有フォルダ右クリックで出来るようにしようよ…)。


3.クラウド設定(写真をネットワークで共有したい)

PhotoStation + myQNAPCloud + QLink

写真は日付やイベントごとにフォルダで分けて管理している人が多いと思います。NASのPhotoStationアプリは、写真フォルダを読み込ませて管理・共有・公開をし易くするものです。もちろんフォルダ単位での
公開もできるので、必須のアプリではありません。写真ファイルのみを表示したり、公開時の見た目が良かったりするので、便利なことは便利です。

myQNAPCloudは、通常外部に公開する際、固定IPアドレスか自分のドメインを持っていなければならない(多くは有料です)のですが、QNAPのサーバーを通すことでそれらが必要なくなり、簡単・無料で公開できます。Google Driveなどのクラウドサービスに似たもので、ストレージは自分の家にある、というイメージです。初期設定時にアカウント登録をしている筈です。

また、公開の際はルーターのポート設定などが必要となりますが、それも省略してくれるのがQLinkです。ルーター毎に違うポート解放方法を探す必要はありません。

単純にアルバム毎にリンクとパスワードを渡して共有する場合

PhotoStation→アルバム作成→リンク作成→QLinkのURLを使用

後は、「旅行の時の写真はパソコンでこのリンクにアクセスしてパスワードを入れれば何時でも見れるよ」と連絡すればいいだけです。

DLNAメディアサーバー
DLNAメディアサーバーをオンにすると、家じゅうの対応機器から写真を見ることが出来ます。デジタルフォトフレームなんて機器が一時期流行りましたが、スマホかDLNA対応テレビがあればゴミと化しますね。音楽、映像も同様に配信可能です。

Googleフォトとの連携
残念ながらGoogleフォトの自動アップデートアプリは無いようなので、メインのパソコンにGoogleフォトアプリを入れて、自動アップデートフォルダにネットワーク上のNASを指定するしかないようです。

Googleフォトアプリをインストール→通知アイコン右クリック→設定

ここでNASフォルダを指定しますが、IPアドレスが変わったときや、何かのタイミングで自動同期されない状態になることがあります。どうもネットワークストレージには適していないようです。とりあえず、手動アップロードして、QNAPの対応を待つことにしました。

4.まとめ

QNAP TurboNASは便利で快適、家にサーバーがあるようなものです。それでいて消費電力は気にしなくていいレベル。Synology DiskStationも同様に使い勝手がいいそうです。Webカメラとの連携やファイルダウンロードツール、各種クラウド連携、mySQLもアプリ追加により可能となります。ただし、初期設定から様々な機能を使うまで、ある程度の知識は必須です。Linuxサーバー管理者であればスラスラできるのだろうけど、初心者が勉強無しに使いこなすのは無理で、不必要な公開などの危険もあります。不安に感じたら、ローカルな外付けハードディスクにしよう、公開できない宅内だけのNASにしようという割り切りも必要と思います。

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