旅行の帰路が新潟経由だったので、燕三条に寄ってきました。食器・金属加工品の街です。
「洋食器センターキタロー」
燕三条インターを降りてすぐに、赤い大きな建物とのぼりが目に入ります。ここは、MADE IN
JAPANのアウトレット食器市です。私は食器や工具が好きで、東京に行けば浅草かっぱ橋、大阪の道具屋筋、仙台では卸町を探索するのが楽しみなのです。
こちらの店は金属の食器・台所用品、包丁が数多く置いてあります。片隅に新潟のお土産コーナーと喫茶店があり、2Fはレストランです。スプーンの工場が併
設されており、製作過程を見学可能です。品物は安いものから高いものまで揃っていますが、総じて品質は良好です。デパートやホームセンターの食器売り場に
行くと、MADE IN
CHINAの安い食器が並び、片隅に高価な為売れ残った日本製食器が埃を被っているものですが、ここではそれが表舞台に立ち、しかもアウトレット価格で売
られているのです。嗚呼、近所にこんな店があったらな…。燕三条の食器は通販でも買うことが出来ますが、やはり実際に手にとって機能美に惚れたものを買い
たいですよね。
「かき混ぜるだけで味がまろやかになるスプーン」
スプーン類
も多種多様あります。そんな中、実演販売員の声に釣られて行ってみると…。小さなコップにアイスコーヒーを入れ、半分飲めと言います。その後、とあるス
プーンでかき混ぜてからもう半分を飲むと…何ということでしょう!苦味がまろやかになっている!販売員のお話によると、そのスプーンを使うと水を美味しく
したり、発泡酒を生ビールの様な味わいにしたりできるそうです。面白い商品だなと思いましたが、なんだか怪しいです。1本800円もしますし、仏像の様な
絵も描いてあります。まぁ、話の種になるだろうと買ってきました。
「阿弥陀如来様の力で」
味
を変えるということは、スプーンに表面加工がしてあって、触媒のような働きをするのかなと思っていました。開封し、説明書を読んでみると、「阿弥陀如来様
の力で味が変わるのです。阿弥陀如来様に感謝しましょう!」と書いてあります。仏像の様な絵は、後光を負った阿弥陀如来様でした。感謝しながら色々試して
みますが、確かに変わります。数人に味見させましたが、皆変化が分かったと言っていました。ただ、一概に美味しくなるかというとハテナで、薄くなる感じが
して飲みやすくなるけど、コクも減ってしまいます。濃すぎたコーヒーをまろやかには出来ますが、美味しいコーヒーを更に美味しくする効果は無いと言えま
す。阿弥陀如来様は万能の神ではなかったのですね!
こ
れは科学的にはどういうことなのでしょうか。食品の味を決める成分は様々で、飲み物をマドラーでかき混ぜたり、金属のコップに入れたり、それこそ空気に触
れるだけでも変化します。もしかしたら普通のステンレススプーンでも同じ効果があるのかもしれません。しかし普段の我々は、そのような微妙な味の変化に気
付くことなく日々を過ごしてしまっています。ナマクラになった味覚を敏感にしてくれるのは、阿弥陀如来様のスプーンを使っているという意識なのです。酒器
を変えて日本酒の味の変化を楽しむ戯れの如く。
「うーん、飲み物がこれで味が変わるのなら、普段の料理でもちょっとした調理方法で味が変わっているのではないかしら?それを知って利用できるのがプロの料理人なのかしら?」悩める私を穏やかな目で見つめてくれる阿弥陀如来様。南無阿弥陀仏!
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