「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えども人の器用不器用に相違あるはなんぞや?それは経験とか慣れから作られるものであって、故にDIYはどんな不器用な人でもやればできるものだと思います。DIYという言葉が普及する以前から、水周りや雨どい、サッシの不具合を直すのは家のお父さんの仕事でした。余程の無精父さんでも、頼めば渋々とでもやってくれたものです(笑)。私の親世代はこのような感じですが、さらに上の世代だと「電柱から電線を引っ張ってきた」とか「自分で家を建てた」なんて強者の話も聞きます。
しかし最近では、ホームセンターやリフォーム業者に頼んでしまうことが多いように感じます。これはお父さんの威厳(笑)が無くなったからとか、設備の専門性が高くなって難易度が上がったからではなく、プロに頼むことが手軽で一般的となったからだと思われます。リフォーム業者も増えています。特にここ東北では、震災の暫く後から雨後ノ筍の如く新たな業者が出てきて、投げ込み広告や飛び込み営業にウンザリする程です。
これは、良く見ればリフォーム市場の拡大、悪く言えば新築市場に成長を見出せない建設業者によるDIYへの浸食、と評することができます。業者としては頑張っているのでしょうが、家計を守る私たちにとっては、大きな出費が発生するか否かの重大な選択肢となります。
かのアメリカでDIYが盛んな理由は、開拓者精神ではなく(残っている方が不思議)、工具・資材の価格が安く、職人の人件費が高いだけという話があります。本より彼らのリフォームの一番の目的は資産価値を高めることですから、上昇する価格以上のコストをかけてしまっては意味がないのです。
勿論、お金以上の仕事をする本物の職人の方もいますし、技術が必要だったり専用工具が必要だったりでDIYに向かないリフォームもありますが、そうでない場合はDIYで行う方が、お金の面でも自立という点でもススメられるべきだと思います。インターネットの存在もDIYをススメています。プロと同じ道具・設備器具を購入することができるし、作業のやり方も写真付きで調べることができるからです。
また、リフォームを自分のペースで行うことで、出費を均すこともできます。最近はリフォームローンを扱っている銀行もありますが、敢えて住宅ローンよりも高い金利で借りる意味はないと思います。
今後の建設・不動産業界は、異常であった新築の多さが収束し、縮小したパイを奪い合う厳しい状況になると思われます。これは先進国として当然のことですが、それに伴い、新築物件の構造計算書偽造や手抜き工事のように、中古物件においてもお抱えホームインスペクターによる住宅診断や、お抱え業者による割高なリフォーム・リノベーションが苦し紛れの金策として出てくる可能性があります。
家と家族の生活を守る者として、このような罠に嵌らないためにも、知識と技術を身に付け、信用できない業者に頼むのだったら自分でやるという強みを持つべきだと思います。難しいことではないと思います。ちょっと昔の人が出来ていたのですから、人間はそう簡単に退化することはありません。
最後に、福沢諭吉の学問のススメから…
「農となり、商となり、学者となり、官員となり、書を著わし、新聞紙を書き、法律を講じ、芸術を学び、工業も興すべし、議院も開くべし、百般の事業行なうべからざるものなし。」
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